京の自然 蜜蝋ワックス 834 > 蜜蝋ワックスについて > 蜜蝋ワックスとは?

蜜蝋ワックスとは?

Category: 蜜蝋ワックスについて

木材や本革を保護する天然成分のワックス

蜜蝋ワックスとは、ミツバチの巣を溶かし、不純物を取り除いた蝋成分=「蜜ロウ」と、植物油を混ぜてつくられた天然のワックスです。主に無垢の木材や本革製品の表面保護やツヤ出しのために用いられます。化学塗料と違い、木材の呼吸を止めることがないため、木材本来の調湿作用を保ちながら表面を保護できます。蜜蝋ワックスは蜜ロウと植物油のみで製造されているものの他に、樹脂や鉱物油を含んでいる製品も見られます。

ミツバチの巣を巣箱から取り出した様子溶かした蜜蝋ワックスを容器に注ぐ様子

古くは古代エジプト時代からミツバチの巣から採取された蜜ロウが使用されており、今日でもその特性をワックスとして利用するスタイルは変わっておりません。長い歴史から見ても理にかなった天然のワックス成分だということが伺えます。

蜜ロウは化粧品やロウソクの原料としても用いられており、安全性の面でも優れた原料です。(ただし蜜蝋ワックスの製品によっては肌に塗布することを想定していない製品もありますので、注意が必要です)

蜜蝋ワックスの特徴とメリット

蜜蝋ワックスを木の器に塗布する様子

汚れ防止・防腐・撥水の効果が得られる

蜜蝋ワックスは無垢の木や本革に対して表面に皮膜をつくります。表面が保護されることで汚れ防止、防腐効果、撥水の効果が得られます。コップなどの結露でできるテーブルの輪染みなども、蜜蝋ワックスで表面を保護することでシミになりにくくなります。

木材本来の自然な風合いのまま保護できる

木にしっかり染み込んで自然のツヤが戻り、素材本来の色合いをキープできます。蜜蝋ワックスはテカテカとしたツヤが出ることはありませんが、無塗装に近い、ナチュラルな雰囲気のまま木材を保護できます。自然の風合いを味わいたい方に適しています。

本革には適度な柔らかさと栄養を与え劣化を防ぐ

本革は定期的に栄養分、油分を与えなければ、素材が痛み、ボロボロになる場合があります。蜜蝋ワックスを使用することで本革に適度なツヤと栄養分を与え、劣化を防ぐことができます。また革が適度に柔らかくなるため、革ジャン、靴など固い素材にも適しています。

蜜蝋ワックスは非常に扱いやすいワックス

蜜蝋ワックスを木製テーブルに塗布する様子

簡単に使えて塗りムラも出にくい

蜜蝋ワックスは軟膏からクリーム程度の硬さのワックスで、非常に塗りやすいワックスです。まんべんなく塗り伸ばせば、塗りムラができることもありません。多くの製品では色付きの塗料等は含まれておらず、天然素材のみなので塗りムラが出にくいのが特徴です。

ワックス特有のきつい臭いがなく自然な香り

多くの蜜蝋ワックスは植物油の香りだけのため、中には「無臭」と感じる方もいらっしゃいます。材料によっては草っぽい、いわゆる自然の香りがする場合がありますが、乾燥後、匂いは無くなっていきます。カーワックスなどのようなキツい臭いがすることはありません。

蜜蝋ワックスのデメリット

蜜蝋ワックスを無垢の木材に塗布する様子

化学塗料ほどのツヤは得られない

蜜蝋ワックスは自然由来の材料のため、化学塗料ほど極端なテカテカとしたツヤを得ることはできません。しかし完全無塗装と比べると、適度なツヤを得ることができ、木材の場合は木目もはっきりとするため、深い印象に仕上がります。

化学塗料ほどの塗膜は作られない

多くの既成品の家具類は、ウレタン塗装など化学塗料によって塗装済みのものがほとんどです。化学製品による塗膜は表面保護の上では強固ですが、その分木材の呼吸、調湿作用を損なうことになります。蜜蝋ワックスは表面保護の上では化学塗料ほどの強さはありませんが、その分、木材本来の呼吸を損なうことがありません。
蜜蝋ワックスは塗り直しが非常に簡単なので、定期的なメンテナンスによって品質をキープできます。

蜜蝋ワックスに使われる材質

亜麻の花

蜜蝋ワックスはミツバチの巣である「蜜ロウ」に加え、主に植物油を混ぜてつくられます。

植物油には、荏胡麻油、亜麻仁油、菜種油、椿油、ヒバ油、オリーブ油などが用いられます。これらの中から1種類のみ使用される場合と、複数をブレンドして使用される場合があります。
このうち、荏胡麻油、亜麻仁油などは「乾性油」と呼ばれ、乾燥性が高く、酸素を吸収して透明な樹脂状に固化する性質があり、より強い皮膜を生成します。

その他、製品によってはイソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、ロジンなどの樹脂が使用されているものもあります。

蜜蝋ワックスに関する不具合

乾燥すると表面に膜ができてしまう

蜜蝋ワックスは缶などに入れて保存されていることが多いですが、この際、缶の締まり具合が悪いとワックスの表面が乾燥し、薄皮状の膜が出来てしまうことがあります。この薄皮を取り除けば問題なく蜜蝋ワックスは使用できますが、薄皮部分をワックスとして使用することはできません。

塗装済みの製品に塗ると染み込まない

ニスやウレタン塗装、ペンキ塗装などが施された木材製品に蜜蝋ワックスを塗布すると、油分が染み込まずに浮いたままになってしまいます。場合によっては蜜蝋成分が乾燥し、粉を吹いたような状態になることもあるため、あくまでも蜜蝋ワックスは無塗装の製品に塗るものとお考えください。

蜜蝋ワックスの使用方法

蜜蝋ワックスを革靴に塗布する様子

蜜蝋ワックスは無塗装の木材、無塗装の本革製品にのみ塗布できます。
蜜蝋ワックスを少量、ウエス等に取り、木材の場合は木目に沿って塗り込んでいきます。本革の場合は色が深くなる程度にまんべんなく塗り込んでいきます。その後約8時間乾燥させ、乾拭きをして完了です。

蜜蝋ワックスの使用方法、塗り方については下記のページにて、手順を追ってご紹介しておりますのでご覧ください。

→蜜蝋ワックスの塗り方・使い方