蜜蝋ワックスの魅力と言えば、なんといっても重ね塗りです。一般的なワックスとは違う、自然で自分だけの色味を出していく作業を楽しんでみてはいかがでしょうか。
蜜蝋ワックスを重ね塗りメリット
蜜蝋ワックスを時間をかけて重ね塗りするメリットとはなんでしょうか。ここでは3つのポイントについて解説していきます。
重ねるごとに色に深みが生まれる
一般的なワックスは木材を保護し、表面をピカピカにします。蜜蝋ワックスも木材の保護という点では同じですが、ワックスが木材に浸透し色味や木目を引き立てることで、マットな見た目でありながら木材本来の味を生み出します。これを使いながらメンテナンスとして何度も重ね塗りすることで深みが生まれ、より使い込まれた良さを引き立てます。
塗膜を強くし、木材を長持ちさせる
重ね塗りは見た目だけでなく、機能面でも必要なことです。一般的なワックスのように強固な塗膜を一度で形成するわけではないので、重ね塗りを経て塗膜を強くしていきます。そのため、初めて蜜蝋ワックスを使用した後、木材の乾燥などを感じる期間が短く感じることがありますが、しっかりと重ね塗りを施していくことで強い塗膜を生み出します。
重ねても木材の調湿作用を維持できる
蜜蝋ワックスは天然素材でできており、塗布しても木材の呼吸を妨げることがないよう微細な穴ができます。これによって木材が呼吸することで発揮する調湿作用を生かすことできます。重ね塗りをしても調湿作用が失われることがないため、長くお使いいただけます。
重ね塗りする際のポイント
蜜蝋ワックスを重ね塗りしていく際のポイントを紹介していきます。使い方は一般的なワックスと似ていますが、蜜蝋ワックス自体の機能や硬さの違いから、異なっている部分もあるためご使用前にチェックしていただればと思います。
一度に多く塗布するのではなく、染み込み具合を見ながら塗り込んでいくこと
蜜蝋ワックスは軟膏やペーストのような硬さで伸びが良いため、木材への浸透具合を見ながら量を調節して塗布してください。塗りすぎるとムラや乾燥のしにくさの原因となります。ただし、一般的なワックスのように液状ではないので、ハケを使う必要もなく、量の調節がしやすいため、使用面に合わせて少しずつ塗布することが可能です。
重ね塗りのタイミングはカサつきを感じた時
蜜蝋ワックスの重ね塗りを行うタイミングは、木材の表面を手で触ってみて「乾燥してカサカサしているな」と感じた時。蜜蝋ワックスは木材の表面を保護するとともに保湿などの機能もあるため、乾燥を感じた時は効果が切れている可能性があります。何度も重ね塗りをしていくことで、木材に蜜蝋ワックスが染み込んでいき、丈夫で長持ちさせることができます。
乾燥と乾拭きも忘れず行う
これは一般的なワックスと同じですが、蜜蝋ワックスも乾燥や乾拭きが必要です。季節や作業場の湿度にもよりますが、8時間ほどの乾燥時間があればよいでしょう。乾燥後、乾拭きをして表面を滑らかにすることで、木材のしっとりとした触り心地をお楽しみ頂けると思います。
具体的な重ね塗りの例
1回のワックスがけ後、半年経過
初めて蜜蝋ワックスを塗布すると、木材の色味や模様が浮き出てくるようにしっかりと見えますが、写真はワックスがけ後、半年経過したものですので、ツヤ感は無くなっています。写真のテーブルはウォールナット材ですが、材質によって染み込み具合が変わります。一度全体に塗ったあと、すぐに表面の乾燥を感じる場合にはワックスを足していくといった調整が必要です。
1回目重ね塗り後
半年使用後、少し乾燥したきたかな?と感じましたので重ね塗りを行ないました。色味が濃くなり、模様が少しくすんで馴染んできたようにも見えます。また、最初に塗った時よりも少し光沢が出てくることもあります。塗布する量と乾拭きの加減などで変わってくるため、お好みで調節していきましょう。
2回目重ね塗り後
しばらく乾燥させて乾拭きしてからもう一度重ね塗りをすると、さらに色味に深みが増しました。少し使いこなされたような、オールド感やカントリー調に近づいてきたとも言えます。さらに塗りを重ねることで、より色味が強く出てきます。
蜜蝋ワックスを使用する際の注意点
最後に蜜蝋ワックスのメンテナンスに関する注意点をまとめておきます。
一般的なワックスよりもメンテナンス頻度が高くなることがある
蜜蝋ワックスは一般的なワックスのように強い塗膜を一度で作るものではないので、最初はメンテナンスの頻度が高いと感じるかもしれません。塗りを重ねることで次第に強くなっていくため、最終的にはしっかりとした塗膜になります。こうしたメンテナンスを含めて楽しめる方には、木材を自分自身の好みに仕上げていく工程も喜びではないでしょうか。
材質によって色味が変わることがある
蜜蝋ワックスは木の持つ本来の色味や木目を生かすワックスですので、同じ木の種類であっても異なる仕上がりになることがあります。材料の持つ独特の味を楽しめる方にはぴったりですが、見た目に統一感を求める場合には難しいかもしれません。