木材や木製製品に使える蜜蝋ワックスですが、財布や鞄といった革製品にもお使い頂けるのです。今回はこうした革製品に使う際の方法やポイントを紹介していきます。
革製品に使用したビフォーアフター
革の財布です。左が塗布前、右が塗布後。塗布前はテカテカした反射がありますが、1年以上使用して革がゴツゴツした印象になっています。蜜蝋ワックス塗布後、ツヤ感はややマットな印象ですが、全体がなめらかに、深みのある印象になりました。
革のカバンです。左が塗布前、右が塗布後。塗布前はキズが目立っていましたが、塗布後にキズが目立ちにくくなりました。さすがにキズが消えるほどではありませんが、全体的になめらかに、ほどよい光沢が得られました。手触りもなめらかになります。
革製品に使うメリット
木材を保護し、色に深みを与える蜜蝋ワックスですが、革製品に使うメリットも知っておくことで、より活用できるシーンが増えるのではないでしょうか。ここでは3つの良さを紹介します。
本革を保護する大切な栄養になる
本革は適度な栄養源を与えることで、劣化を防ぐことができます。この栄養分が蜜蝋ワックスにも含まれているので、塗り込むと革製品を長く使うことにつながります。買ったばかりの革製品だけでなく、長年使ってきた物をこれからも使い続けるためのメンテナンスにもお使いいただけます。
本革の色合いを落ち着いたものにする
本革は買ってそのまま使用することもできますが、蜜蝋ワックスを塗布して落ち着きを持たせることもできます。本革の色にもよりますが、赤いものはワインレッドのような色に、ブラウン系はより濃いものに仕上げることができます。使い込んでいくことで出てくる革の味わいをより一層高めてくれるでしょう。
固い本革を柔らかくする
本革のブーツなどはそのまま使おうとすると硬くて履きにくいといったことがありますが、蜜蝋ワックスを塗り込んでメンテナンスをすることで次第に柔らかくなっていきます。一回の塗布で一気に柔らかくなるわけではないため、使い心地を見ながら自分好みにしあげていくことができます。
一般的なレザーワックスとの違い
本革のメンテナンスにはレザーワックスを使うのが一般的ですが、蜜蝋ワックスがおすすめな理由を解説していきます。
天然成分で本革に優しく、匂いもほとんどない
蜜蝋ワックスは天然成分だけで作られているため、本革を傷めず自然に保護できます。また、匂いも控えめで使いやすいので、室内でも換気などを気にせず使うことができます。
軟膏タイプで使いやすい
レザーワックスは硬くて使いにくいという方にも蜜蝋ワックスはおすすめです。軟膏のような硬さで塗りやすく、手早く伸ばすことができます。
革製品に使う前の下準備
革製品も木製製品と同じく下準備が必要です。といっても難しい事はなく、塗装の有無や塗面の清掃といったことです。順に解説していきます。
塗装された革製品でないことを確認する
すでに塗装処理がされている革製品には蜜蝋ワックスを塗布しても効果を得ることができません。蜜蝋ワックスは本革に直接浸透していくことで効果が得られるため、塗装や艶出し材などがあると浸透しないためです。木材であればリムーバーやサンドペーパーで塗面を除去することができますが、革製品の場合は本革を傷めてしまうことがあるためおすすめできません。
表面に汚れや埃がないように掃除しておく
蜜蝋ワックスを塗布すると塗膜を形成するので、汚れや埃もそのまま閉じ込めてしまいます。そのため、蜜蝋ワックスを使う前には表面をきれいにしておきましょう。
革製品への使い方
実際に革製品への使用法を説明していきます。
布やキッチンペーパーに蜜蝋ワックスを取り、少しずつ塗り込んでいく
細かい繊維などが残りにくい布やキッチンペーパーに蜜蝋ワックスを取り、丁寧に塗り込んでいきます。全体に一気に塗るのではなく、部分ごとに分けて仕上げていきましょう。特に縫い目など革が重なっている部分は塗り忘れやすく、傷みやすい部分なので重点的に塗り込みましょう。
8時間の乾燥後、乾拭きをしておく
季節や時期によって乾燥度合いはことなりますが、8時間ほどかけてしっかりと乾燥させておきましょう。その後乾拭きを行うことで浸透しきらなかったワックスを拭き取り、ベタつきなどを防ぎます。また、表面の塗膜が整うことで艶が出て、なめらかな手触りになります。
メンテナンスのタイミング
革製品のメンテナンスを行うタイミングを解説していきます。蜜蝋ワックスはメンテナンスに使いやすい軟膏タイプなので、気軽に使うことができるでしょう。メンテナンスを怠ると革が劣化して割れてくることもあるので注意が必要です。
撥水効果が薄くなってきたと感じたとき
蜜蝋ワックスには本革に撥水効果を与える機能がありますが、これが薄くなってきた時はメンテナンスのタイミングです。特に梅雨の季節には雨が当たることが多いので、注意が必要です。
本革が乾燥してきたと感じた時
本革を触ってみて乾燥してきたと感じた時に蜜蝋ワックスを使います。特に期間などはなく、ご自身でそう感じたときで問題ないありません。乾いていると感じた部分だけでなく、普段使用している中で擦れている箇所の保護を中心に塗り直すのも効果的です。
季節の変わり目や皮が硬くなってきた時
季節の変わり目はメンテナンスを行ういい機会です。季節の変化で湿度も変わって、革へのダメージも大きくなります。そこで事前に蜜蝋ワックスで保護しておくことで革の保護ができます。また、革が硬くなってきたと感じた時にも蜜蝋ワックスを塗っておき、革に柔らかさを持たせておきましょう。